風景画を使って心の内側に迫る

箱庭療法は、優れた心理療法ではありますが、治療以外の目的では、なかなか箱庭を制作する機会はもてません。その代わりに、導入が容易であって、箱庭療法に類した体験ができるのが「風景構成法」です。

 

<風景構成法とは>

風景画を描いてもらう方法。描かれた風景画を通して、その人の内面に秘めた想いを感じ取ろうとするものです。箱庭療法をベースにして、中井久夫氏により1969年に開発されました。もともとは、予備診断等のための心理テストとして利用されていましたが、最近では、心理テストにとどまらず、これだけで心理療法の媒体としても機能することが確認されている、日本発祥の技法です。

 

<方法>

A4~B4程度の画用紙と、サインペンやクレヨンなどの画材を用意します。セラピストが風景を構成するための10個(+1)のアイテムを述べていき、絵画制作者には、サインペンで、そのひとつひとつを画用紙に描いていってもらいます。アイテムは、必ず次の記載順に描いてください。1.川 2.山 3.田 4.道 5.家 6.木 7.人 8.花 9.動物 10.石、+本人が描き加えたいアイテム。描き終わったら、クレヨンで色づけをしてもらって終了です。その後、出来上がった絵を皆(自分)で観賞します。

 

<鑑賞のポイント>

描かれた風景画を鑑賞するときのポイントは「箱庭療法」の場合と同じですが、大きな違いとしては、実際に本人が絵を描いているという点です。得てして最初は、描いた本人も観る側も、絵が上手く描けたかどうか、という点に意識が向いてしまいがちなのですが、少し時間をかけてゆっくり絵を観察し、絵全体に漂う雰囲気を感じ取るように心がけましょう。

 

具体的には、色の使い方やペンタッチ(描かれた線の強さや弱さ)、画面の構成などをみていきます。絵を通してその人に触れることで、よく知っているつもりだった人の意外な一面に気づかされることも多いでしょう。

 

基本的に、描いたアイテムの順にストーリーを追っていくと良いとされています。これは実際に自然が成り立っていく時間軸をベースに作られている点に沿う考え方です。描くアイテムの順番が決まっていることから、現実的にはありえないような風景構成も「有り」ということになっていきますが、そのありえない、自由な表現の中にこそ、その人の心の中が現れるということができます。また、絵の中でいいなぁと思った部分について制作者に伝えてあげたり、気になる点について制作者に聴いてみることなども大事な鑑賞ポイントのひとつです。自分だったら、こう描くだろう、といった考えなどを合わせて述べて頂くのもよいかもしれません。こうした絵を通じての交流が、お互いの癒しにもつながっていくことになります。

 

<各アイテムの意味>

川=無意識の感情、山=性格の特徴や背負っている課題など、田んぼ=仕事・労働、道=意識的な人生の道、家=自分自身、木=才能・能力、人=人間関係、花=愛情、動物=無意識の自分、石=障害・頑張り 

 

 

これは私が描いたものです。描きこむアイテムが一緒なので、別な人の作品と対比するとその違いにけっこう驚かされます。機会があれば、許可を得て、他の人の作品も掲載したいと思っています。

 

いろいろ、分析的な鑑賞の仕方もありますが、とろあえず、ゆっくりこの絵をながめて頂いて、白人蒼依はどんな人物なのかなぁと思ってみて下さい。

 

ちなみに、人や動物がいない、と思われるかもしれないので、ちょっと説明させていただきますと、とても小さいですが、画面右側のやや上に家があり、その近くに人を描いています。その人の上の方に鳥を描きました。またもう一人、人がいて、田んぼと川のあいだの道をランニングしています。二人は「お~い」と声を掛け合っています。…なんていう物語がこの絵の中にはあるのです。